ホーム > 市民レポーターの目 > 運動苦手克服のヘルパーさん“学”配便で〜す〜 (特活)スマイルクラブ(小学校での体育授業サポート) 〜
(特活)スマイルクラブ(以下、「スマイル」)は、柏市を中心に千葉県各地や大阪府等で幼児から高齢者を対象にしたスポーツクラブです。


<創業のキッカケ>

 理事長の大浜あつ子さんは大学で幼児運動を研究、卒業後中学校の体育教師となり、3年程で結婚退職。その後は様々な学校で非常勤講師を務めました。自閉症児を抱えたあるお母さんは大浜さんが特別支援学級にも関っていることを知り、<勉強は普通の子並みだけど体操がまるでダメなので教えて>と頼まれたのが今の事業へ乗り出した発端です。

 それからが大変、大浜さんの評判が口コミで広がり、アッという間に児童が急増、友人の臺(だい)さんの応援も得ましたが、15人を越えた時点でお手上げでした。そこで平成12年、NPO法人格を取得し、地域コミュニティの役割を担った総合型スポーツクラブを目指して再出発しました。


<互いが歩み寄った協働事業>

 
 スマイルと柏市教育委員会協働の[小学校体育授業サポート]は平成18年から続いています。このご縁は平成17年の柏市協働事業提案制度に応募したことが始まりでした。大浜さんの体育授業経験から「1クラス約40人の児童をたった一人の先生ではとても目が届かない、ここはスマイルがサポートする複数担任制にすべき」と考えてこの募集に乗ったのです。

 柏市との調整の結果<特別支援学級のサポートを主に、全児童を対象とした体育授業支援>でスタートしました。



<どうやって先生の懐へ飛び込むか>

 大浜さんに苦労話を聞きました。「授業サポートを始めた当初はほんとに大変でした。予想していましたが、先生方は教室へ外部の人が入ることを嫌がるのじゃないか、スタッフが担任のプライドを傷つけず、どうやって信頼関係を築くか話し合いました」
スタッフの弁はこうです。「とにかく授業中に担任の先生をひき立て、担任の死角になる所を支援する様に心がけて」。
 ですが、もうその心配は無用、学校サポートのスタッフが教室に入るなり異口同音に

  「アッ、先生髪切ったぁー」
  「ワァ〜、髪型変ってるゥ〜」

と大騒ぎ。その髪形、「2ブロックと言い、頭の横とてっぺんの長さが違う」と後で教えられました。こういう風に児童が懐いているので学校を変わる時には児童からお礼の手紙を貰うまでになったようです。


<週1回3時間の授業サポート>

 教育委員会は毎年授業サポート希望校を募り、特別支援学級を持つ10校を選び、これをスマイルのスタッフが分担します。1校当りほぼ週2回3時間、年70日・210時間をサポートします。特別支援学級だけの授業もあれば普通学級の子と一緒もあり、つまりバリアフリーです。

 スマイルは授業サポート以外にバレー・サッカー・中高年向け体操等の教室があり、スタッフは専任6名、非常勤は約50名です。子供が学校へ行ってる間だけやってくる元教員の主婦、体育教員を目指す大学生、中高年へのスポーツ学を大学院で学びそれを生かそうと転職して来た人等、多士済々です。

 スタッフは生徒の見回り・道具準備・片付け等、休み時間もなく動いてますが、姿を見つけた子供達は“センセ〜イ“と叫んで手や首にぶら下がってまるで<ジャック達にハイジャックされた豆の木>の呈です。その<豆の木>センセイに「どういう時にヤリガイ感じますか」と問うと、

  ○担任に授業の構成をどうしたらよいか相談受けた時
  ○児童から“逆上がりのコツ教えて“と頼まれた時。すると1時間で逆上がりをマスターした時。
   そして“ありがとう“と言われた時。

 某大学の調査によれば鉄棒の出来不出来で運動の好き嫌い、教室での人気も左右されるそうです。

 こうした子供との授業ノウハウは、スマイル独自の「運動が苦手な子の教室」等で編み出したスグレモノが生かされます。

 例えばサッカー、障害児の中にはゲーム中に雲隠れする子がいます。そういう時は皆で手をつないで輪を作り「輪の中でボールを蹴り合うんだよ。外へ出したらアウト」。しっかり手をつないでいるから誰も何処へも行かないし、つなぐと連帯感・親しみも湧く、とこんな具合です。

 しかもノウハウは他の教室へも展開され、教育委員会を介して他校へ伝播されたり、もともとこのスマイル開発の経験・ワザに期待するところがあったようです。 



<こんな所にも役立つ授業サポート>

 授業サポートはスマイルにも保護者にとっても助かります。学校では元気溌剌な子がスマイルのスポーツ教室では借りてきたネコ状態なのを見て、<学校では元気なのよ>と保護者へ教えてあげる事で、点ではなく多角的な目で育てる効果があります。スマイルは授業サポートモデル校、「運動が苦手な子の教室」で全国的に知られ、文科省の“スポーツ立国戦略“でも注目されています。


<次は自主授業?>

 平成18年学校教育法の改定で、障害児教育は障害度合に応じた「特殊教育」だけでなく、知的遅れのない発達障害も含めて一人一人のニーズに合った「特別支援教育」へ変りました。下の表は法改定後特別支援児童は倍増し、しかし支援学級がそれに追い付かない様を示しています。

 柏の小学校41校中36校は特別支援学級があります。今後の課題を大浜さんは言います「予算の制約があって難しいが、理想は2校位に絞り5時限目までミッチリ授業サポートをやりたい。


(参考資料:学校教育法改定前後の柏市内小学校における特別支援児童数比較)


 もう一つ、既に48校を担当しました。スマイルのミッションを果たす為にも次は(協働事業を離れた形の)学校とスマイルが直結した自主事業でしょうか」。


<取材から感じたこと>

 付きっ切りでないと体操が出来ない障害児がいます。サポーターが来ない日の対応が気になりました。それと、少子高齢社会の今日、スポーツは元気を取戻せ、医療費を減らせて教育の場だけの効果に留まらないでしょう。

 大浜さんのパワーと先見性、スマイルが目指す年齢・性別・障害の壁をフリーにした健康作りの正しさを強く感じました。
(平成23年11月 柏市民活動レポーター 河井弘泰)


●(特活)スマイルクラブ
 代表者:大浜 あつ子
 連絡先:04-7169-4283 
 ホームページ:http://smile-club-npo.jp/ 


●協働事業提案制度の詳しい内容は,http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/400100/p001054.html へ。

 
前の画面へ戻る
▲ページトップ